NEUROSCIENCE BRAIN SIMULATION PAPER
EvoSpikeNet 全脳シミュレーション:神経科学者向け
著者: Masahiro Aoki
Copyright: 2026 Moonlight Technologies Inc.
- ドキュメントID;MT2026-AI-01-001
- ORCID ID:0009-0007-9222-4181
- 所属: Moonlight Technologies 株式会社
要約
本稿では、スパイキングニューラルネットワークと生物学的制御アーキテクチャを用い、 分散モジュラ型で人間の全脳を近似するシミュレーションプラットフォーム 「EvoSpikeNet」の設計と実装を示す。従来のディープラーニングや強化学習とは 異なり、本システムは時系列スパイク伝播、可塑性依存の自己調整、及び 地理的に分散したノード間の精緻な同期を特徴とする。既存AIが苦手とした “時間的因果性の維持”や“高次空間認知への自然階層化”をソフトウェアアーキテクチャ レベルで実現し、ニューラル回路の物理的レイテンシ制約を評価指標に組み込んだ。 システムは、視覚・聴覚・空間・言語・運動・記憶などの専門化されたノードを 低遅延ミドルウェア(Zenoh)で結合し、量子インスパイア自己変調を備えた 前頭前野制御モジュールが統括する。本論文では概念的枠組み、機能層、 数理モデル、データフロー、皮質領域対応を論じる。残機能仕様に記載された 生物学的挙動(海馬・扁桃体・小脳・ニューロモジュレーションなど)も既に組み込み、 実装済みである。ニューロンモデル、可塑則、注意機構、時刻同期の式を提示する。 詳細なブロック図や脳部位マップを含む。
キーワード:スパイキングニューラルネットワーク、分散脳シミュレーション、 PFC、ChronoSpikeAttention、STDP、全脳、皮質マッピング
1. はじめに
人間の大脳皮質には約860億個のニューロンと100兆個のシナプスが存在し、視覚、 聴覚、言語、記憶、運動制御などに特化した領域に分化している。既存の計算モデルは 通常単一機能に焦点を当てるが、EvoSpikeNetはこれら複数のモジュールを統合し、 可拡張な分散ソフトウェアフレームワークとして「全脳シミュレーション」を 構築する試みである。
本論文の目的は以下の通りである。
- 皮質領域に対応する機能分解を維持すること。
- 生物学的妥当性のあるスパイキングモデルを用い、リアルタイム(≤200ms エンドツーエンド)動作を目指すこと。
- 継続学習と自己修復を、可塑性(STDP、meta‑STDP)および 進化ゲノム層でサポートすること。
- パラメータ・タイミング・状態変数を生理学的指標として公開し、 神経科学的検証を可能にすること。
- 海馬、扁桃体、基底核等の構造を含めた生物学的領域を実装すること。
対象読者は、本プラットフォームを深く理解しようとする神経科学者や システムアーキテクトである。
AI との差異
従来のニューラルネットワークは活性化値の密なベクトル演算を主体としており、 時系列情報の因果構造を保持することや、動的なメモリ管理、 地理的に分散したプロセス間の絶対同期を要するタスクには適さない。 EvoSpikeNetではスパイク時刻を2進数ではなく時間軸上の物理的イベントとして 扱い、ZenohとPTPによるノード同期を用いることで、 ロボティクス、空間ナビゲーション、リアルタイムEEG閉ループといった 「従来AIが苦手とした領域」での性能を実証している。
具体例: - 3D空間で移動する物体を追跡・予測する際、時間的因果性を保持した ChronoSpikeAttentionが連続的な注意を提供。 - 低遅延(<50ms)での運動制御では、PTP同期により各モジュールの 発火タイミングがナノ秒単位で整合され、従来のバッチ推論では得られない 反応速度を実現。 - 継続学習においてはMeta‑STDP がカタストロフィック忘却を抑制し、 長期記憶化が可能になる。
2. システムアーキテクチャと生物学的対応
タイムスタンプを提供する。空間認知ノード(Feature 13)は認知層内に 位置するが、後頭頭頂皮質に対応する。
2.1 ブロック図
flowchart LR
subgraph "Sensory/Encoding"
CAM["カメラ/網膜 (V1‑V5)"]:::implemented
MIC["マイク/A1"]:::implemented
TAS[TAS 符号化]:::implemented
end
subgraph "Cognitive"
VIS["視覚モジュール<br/>(後頭葉/IT皮質)"]:::implemented
AUD["聴覚モジュール<br/>(側頭葉)"]:::implemented
SLM["スパイキングLM<br/>(言語/ブローカ–ヴェルニッケ)"]:::implemented
RAG["ハイブリッドRAGインデックス"]:::implemented
SPAT["空間層<br/>(頭頂葉)" ]:::implemented
BM["生物模倣モジュール群<br/>(感情/報酬/睡眠/リズム etc.)"]:::biomim
end
subgraph "Control/PFC"
PFC["PFC / Q‑PFC<br/>(前頭皮質)"]:::implemented
end
subgraph "Memory/State"
EPI["エピソード記憶<br/>(海馬)"]:::implemented
SEM["セマンティック記憶<br/>(側頭葉)"]:::implemented
MINT["メモリインテグレータ<br/>(帯状回)" ]:::implemented
end
subgraph "Motor/Output"
MTR["運動プランナー<br/>(運動皮質)"]:::implemented
end
subgraph "Infrastructure"
ZEN["Zenoh Pub/Sub"]
PTP["PTP 時刻同期"]
end
CAM --> TAS --> VIS --> SLM
MIC --> TAS --> AUD --> SLM
SLM --> RAG --> PFC --> MTR
SPAT --> PFC
BM --> PFC
PFC <--> EPI
PFC <--> SEM
EPI <--> MINT
SEM <--> MINT
ZEN --- PTP
PFC -.-> ZEN
VIS -.-> ZEN
AUD -.-> ZEN
SPAT -.-> ZEN
MTR -.-> ZEN
EPI -.-> ZEN
SEM -.-> ZEN
MINT -.-> ZEN
BM -.-> ZEN
図1. 皮質領域対応を示す高レベル構成図。実線はデータフロー、破線は Pub/Subメッシュ。
2.2 ノードランクとハブアーキテクチャ
ノードには機能の複雑さと接続要件に基づき 1~15 のランクが付与される。 Rank1–5 は視覚・聴覚などのセンサや基本認知処理、Rank12 以上は高度な 空間認知や統合を実装する。ランクはノードのハブ役割にも影響を与え、 Rank1 は葉ノードとして生スパイクを公開し、Rank8–11 は RAG インデックスや LM 推論を行う中間ハブ、Rank12+ は地理的領域を跨いだ協調を主管する。
ノードハブは Zenoh メッシュ内の論理構造で、データ集約と再配布を担当する。
遅延測定 (\(L_{ij}\)) が閾値を超えると ExecutiveControlEngine が別ハブを
昇格させ、50ms 未満の通信を維持する。スパイクはすべて 64bit PTP タイムスタンプ
と Protobuf 形式の可変長ペイロードを持つ。制御メッセージは
{type,source,target,payload} という JSON スキーマであり、言語の異なる実装間
でも互換性を保つ。
各ハブは自身のランク域に割り当てられたノード一覧を保持する領域ディスクリプタ を持つ。運用中、このディスクリプタを1Hz でブロードキャストし、他ノードが ルーティングテーブルを調整する。この仕組みにより、集中ディレクトリなしで クラスタ横断の協調が可能になる。
2.3 皮質領域対応の説明
本バージョンでは、生物模倣機能の追加に伴い脳部位マッピングを 拡張した。感情・報酬回路(扁桃体・側坐核/VTA)、睡眠・リズム同期 (海馬θ波+ACh)、ミラーニューロン系(前運動皮質対観察皮質) 、意図・動機付けベクトル(PFC/ACC/NAcc)、および発達ダイナミクス (臨界期刈り込み・ミエリン化)などが新たに実装され、以下のような 機能連携を構成している。
- PFC は扁桃体からの情動信号とVTAドーパミン予測誤差を受けて 学習率を調整し、同時にTheta帯EEGに同期したACh放出で記憶符号化を 切り替える。
- ミラーニューロン系は運動野と視覚野の双方向結合として実装され、 モデルは観察行動時にも運動コマンドを内部生成し褒賞を推定する。
- 発達ダイナミクスは
DevelopmentalScheduleによりエポック依存で 可塑性/刈り込み/伝導遅延を制御し、カリキュラムスケジューラと連動 して訓練難易度が段階的に増加する。 - 感覚前処理は網膜DoG→V1ガボール、蝸牛ガンマトーン、前庭 加速度/角速度正規化、および運動指令のエフェレンスコピーを提供。
これらのモジュールは evospikenet/biomimetic パッケージに集約され、
DistributedBrainExecutor の EEG メタデータ経由で全ノードに共有される。
進化エンジンが生成した最良 EvoGenome を
DistributedBrainNode.deploy_genome() 経由で各ノードに直接展開できる
かり、現在実装されている。展開後、各ノードのコマンド処理ループ内で
InstantiatedBrain(GenomeToBrainConverter が生成する実ネットワーク)の
forward pass が実行され、ゲノム進化の結果がリアルタイムの
推論現場に反映される。合わせて、STDP スパイク政゜辺強化履歴から
算出した INT16 デルタを apply_weight_delta() で nn.Linear 履歴に
即時適用する機能も実装され、オンライン可塑性のループが閉じた。
さらに各ノードは対応する皮質/皮質下領域の機能をソフトウェア的に模倣しており、 パラメータ(遅延、ニューロン数、可塑性係数など)は実際の生理値に 近づけて調整している。
| ノード | 生物学的領域 | 主要機能 | 平均レイテンシ | 実装状況 |
|---|---|---|---|---|
| 視覚 | 後頭皮質 (V1–V5, IT) | シーン解析・物体認識 | 45 ms | 完了 |
| 聴覚 | 一次聴覚皮質 (A1) | 周波数抽出・音源定位 | 40 ms | 完了 |
| 言語/SLM | ブローカ–ヴェルニッケ回路 | 脳内言語表現生成 | 60 ms | 完了 |
| 空間 | 上頭頂小葉、後頭頭頂皮質 | 位置/物体認識・注意制御 | 50 ms | Feature 13 完了 |
| PFC | 背外側/眼窩前頭皮質 | 意思決定・目標管理 | 30 ms | 核心モジュール完了 |
| 運動 | 一次運動皮質 | 運動計画生成・出力 | 25 ms | 完了 |
| エピソード | 海馬 | 時間的シーケンス記憶 | — | 完了 |
| セマンティック | 側頭葉内側面 | 概念知識保持 | 5 ms検索 | 完了 |
| インテグレータ | 帯状回/島皮質 | モーダル間統合 | 10 ms | 完了 |
各説明には生体領域の主要論文と対応するEvoSpikeNetモジュールの 実装ノートが内部ドキュメントとして付属している。必要に応じて 誘導可能。
表1. EvoSpikeNet モジュールと皮質領域の対応。
2.4 コネクトーム→ノード自動マッピング(補遺)
本節は神経科学的妥当性を保ちつつ、公開コネクトームからEvoSpikeNetのrank構成への
自動マッピングを行う際の原理・検証基準・実験的示唆を示す。研究用途での信頼性確保が主目的である。
- 生物学的制約の優先度: E/I 比、層分布、細胞型頻度を最優先で保持する。これらはネットワークダイナミクスに直接影響するため、削減時に保存されるべき主要指標である。
- 削減手法の適用: Policy F(層別サンプリング、スペクトル削減、クラスタ代表)のうち複数を適用し、ソース分布と最も整合する手法を選定する。選定基準はE/I 差分、次数分布のKS検定、有意水準(p>0.05)である。
- 検証実験: 生成された
structural_maskを使い、短期学習課題(視覚識別・聴覚識別等)で学習曲線比較を行う。生物学的指標(尖度、同期度、E/I比)とタスク性能の相関を報告する。 - 出力の保存形式: NPZ (COO形式配列:
row_indices,col_indices,weights,delays,ei_mask) にversion_uuidとetagを付与し、再現性とバージョン管理を担保する。 - 倫理・契約: HCP 等の被験者データは DUC に従い、研究用途の手続き・承認を必須とする。公開データの利用に関しては論文の付録に手続き履歴を添付すること。
上記は神経科学コミュニティ向けの補遺であり、実験ノートとして実装結果(E/I 保存率、KS p-value、課題学習曲線)を添えて公開することを推奨する。
2.4.1 コネクトーム由来の脳機能統合
本節では、公開コネクトームから抽出・削減した構造情報をどのように EvoSpikeNet の機能モジュールへ統合するかを具体化する。設計指針と 検証指標を明示し、研究用途での再現性を担保する。
- 構造的ハブ(rich‑club): 高次数ノードは PFC 相当の高ランクノード (Rank12+) または中枢ハブへマッピングする。検証指標: リッチクラブ係数 の保存率、次数分布のKS検定。
- モジュール性/コミュニティ構造: モジュール検出に基づきノード群を 領域ディスクリプタとして登録し、Rank割当・ルーティングテーブルに反映する。 検証指標: モジュラリティ \(Q\) の比較、クラスタ一貫性スコア。
- E/I バランスと細胞型頻度: 局所回路レベルでのE/I比と細胞型頻度を
保持し、
ei_maskとしてstructural_maskに格納。検証指標: 発火率分布、 E/I 比の保存率。 - 層状投射(層間接続): 層別接続はメタ属性として保持し、皮質モデルの 層パラメータにマップする(例: L2/3→L5 フィードフォワード)。
- 遅延(long‑range vs local): 伝播遅延を
delays配列で保持し、時間同期 評価とルーティング最適化に用いる。 - シナプス重み分布: 重み分布は初期条件として保存し、可塑性ルールにより 学習中に更新される。検証指標: 重み分布の統計的距離(KL divergenceなど)。
- 回路モチーフ(feedforward/feedback): 頻出モチーフはテンプレート化して ノードマッピング段階で保持・注入する。振動・同期モチーフは海馬・小脳の モジュール設計に反映する。
- サブグラフ注入: 海馬回路や視覚カラムなどの意味的サブグラフは専用ノードへ 部分的にインジェクトし、機能的再現性を確保する。
- ニューロモジュレーション結合: neuromod メタデータを PFC 等のグローバル モジュレーターチャネルへマップし、可塑性ゲインや学習率を動的に変調する。
出力フォーマットと運用ルール:
- 保存形式: NPZ (COO) に
row_indices,col_indices,weights,delays,ei_mask,layers,region_tags,version_uuid,etagを含める。 - 削減ポリシー: Policy F(層別サンプリング、スペクトル削減、クラスタ代表)をデフォルトとし、E/I と次数分布の保存を優先する。
- 検証セット: 視覚・聴覚の短期学習タスクで学習曲線を比較し、KS検定、同期度(PLV)、メモリ使用量を報告する。
- 参照実装・設定: 詳細は
docs-dev/connectome_schema.md、config/connectome_config.yaml、およびテスト群(tests/test_connectome_loader.py等)を参照する。
この節のガイドラインは、コネクトーム由来の構造情報を生物学的妥当性を損なわずに EvoSpikeNet のモジュールへ統合するために設けられている。実運用では、各実験の 要件に応じて減縮パラメータや検証プロトコルを明示的に記録し、再現性を担保する。
本節ではニューロンモデル、学習則、注意機構を要約する。
3. 数理モデルと数式
3.1 ニューロン力学
3.1.1 漏れ積分発火(LIF)
パラメータはノードごとに設定可能。典型値は表2参照。
3.1.2 Izhikevich モデル
前述の式にて、20種類以上の発火パターンを再現。
3.1.3 ChronoSpikeAttention
スパイク時刻 \(t_i,t_j\) の注意重み:
未来情報を遮断し、時間距離に応じて指数的に減衰。
3.2 可塑則
時間差依存可塑性(STDP)
4. コネクトーム統合(CONNECTOME_INTEGRATION_PAPER の統合)
この節では docs/CONNECTOME_INTEGRATION_PAPER.md の内容を EvoSpikeNet のシステム説明に統合・補強する。図は埋め込みのMermaidを用い、各図の下に詳細説明を付す。
4.1 統合概要
- 目的: EvoSpikeNet ノード内部の接続トポロジーを公的コネクトームデータで初期化し、構造層と機能層を明確に分離することで、学習の安定性と生物学的妥当性を両立する。
- 実装状況(2026-03-19 更新 — Phase E-0/E-1/E-2 完了):
- ✅ config/connectome_config.yaml: 実装済み(Implemented)。
- ✅ ドキュメント統合(本稿): 実装済み(Implemented)。
- ✅ evospikenet/connectome_loader.py: Phase E-1 完了。load_json · load_npz · save_npz · stratified_sample(F-1 層別サンプリング)· spectral_coarsen(F-2 スペクトル縮約)· load(ETag+TTL キャッシュ)実装済み。
- ✅ evospikenet/core.py の LIF 拡張(ConnectomeLIFLayer): Phase E-1 完了。structural_mask(bool COO テンソル)バッファ、connectome_weight パラメータ、attach_sparse_delay_buffer()、validate_ei_ratio() を実装。SNNModel.forward() に遅延ルーティング(step_int16())を統合。
- ✅ evospikenet/connectome/node_mapping.py: Phase E-2 完了。get_source_for_node · build_manifest · apply_to_layer 実装(18 テスト PASS)。
- ✅ evospikenet/connectome/delay_buffer.py(SparseDelayBuffer): Phase E-2 完了。COO リングバッファ形式 [max_delay+1, n_neurons]、step / step_int16 / from_connectome_data 実装(22 テスト PASS)。
- ✅ evospikenet/zenoh_connectome_publisher.py(ConnectomeMetadataPublisher): Phase E-2 完了。Zenoh トピック connectome/metadata/{node_id}、セッション=None でログオンリーモード(30 テスト PASS)。
- ✅ evospikenet/forgetting_controller.py(compute_connectome_density): Phase E-2 完了。
- ⬜ scripts/sync_connectome.py: Phase E-3(未着手)。自動差分同期パイプラインは今後実装予定。
4.2 三層モデル(再掲と説明)
graph TB
subgraph "Layer 1: 構造層 Structural Layer"
S1["コネクトーム由来の隣接行列 A∈{0,1}^{N×N}"]
S2["E/Iニューロン種別マスク"]
S3["シナプス遅延テーブル delay[i,j]"]
S1 --- S2 --- S3
end
subgraph "Layer 2: 機能層 Functional Layer"
F1["STDP重みスカラー w_scalar"]
F2["Meta-STDPによる可塑性更新"]
F3["ChronoSpikeAttentionとの統合"]
F1 --- F2 --- F3
end
subgraph "Layer 3: 進化層 Evolutionary Layer"
E1["EvoGenomeによる構造マスク共進化"]
E2["プルーニング率の進化的最適化"]
E3["スケール間適応"]
E1 --- E2 --- E3
end
S1 -->|"W_ij = A_ij × w_scalar"| F1
F2 -->|"ΔSTDP × A_ij のみ更新"| F1
E1 -.->|"Phase E+ のみ"| S1
説明: 構造層は外部コネクトーム(FlyWire/MICrONS/C.elegans/HCP)から生成したブールマスクを保持し、学習中の重み更新はこのマスクで制限される。機能層は可塑性スカラーや注意重みを管理し、進化層は長期的にマスク自体の改変を扱う(Phase E+:研究用途)。
4.3 モジュールとデータフロー(統合)
以下の図はコネクトームデータの取得からノード初期化、分散配信までのエンドツーエンドフローを示す。各ブロックの後に具体的挙動を記述する。
flowchart TB
subgraph "コネクトームデータ層"
CE_DB["C. elegans DB<br/>WormAtlas JSON"]
FLY_DB["FlyWire DB<br/>CAVE API"]
MIC_DB["MICrONS DB<br/>CAVEclient"]
HCP_DB["HCP S1200<br/>FSL/MRtrix3"]
end
subgraph "コネクトームローダー層"
LOADER["connectome_loader.py<br/>スパースCOO変換"]
SYNC["sync_connectome.py<br/>自動更新パイプライン"]
CONFIG["connectome_config.yaml<br/>ソース管理"]
end
subgraph "構造層(変更不可)"
MASK_V["Visual 構造マスク<br/>structural_mask[V1]"]
MASK_A["Auditory 構造マスク<br/>structural_mask[A1]"]
MASK_M["Motor 構造マスク<br/>structural_mask[M1]"]
MASK_E["Episodic 構造マスク<br/>structural_mask[HPC]"]
ZENOH_TOPO["Zenoh接続優先度<br/>HCP由来重み"]
end
subgraph "機能層(STDP可変)"
LIF_V["LIFNeuronLayer<br/>Visual Node<br/>W = mask × scalar"]
LIF_A["LIFNeuronLayer<br/>Auditory Node"]
LIF_M["LIFNeuronLayer<br/>Motor Node"]
LIF_E["LIFNeuronLayer<br/>Episodic Node"]
end
CE_DB --> LOADER
FLY_DB --> LOADER
MIC_DB --> LOADER
HCP_DB --> LOADER
LOADER --> MASK_V & MASK_A & MASK_M & MASK_E & ZENOH_TOPO
SYNC -->|"週次差分"| LOADER
MASK_V --> LIF_V
MASK_A --> LIF_A
MASK_M --> LIF_M
MASK_E --> LIF_E
LIF_V & LIF_A & LIF_M & LIF_E --> ZENOH_M["Zenoh Mesh"]
ZENOH_TOPO --> ZENOH_M
ZENOH_M --> PFC_C["PFC Control"]
PFC_C --> STDP_C["Meta-STDP"] --> LIF_V & LIF_A & LIF_M & LIF_E
EVO_C["EvoGenome"] -.->|"構造マスク更新(Phase E+)"| MASK_V & MASK_A & MASK_M & MASK_E
詳細: connectome_loader.py はソースごとの認証・取得・正規化・COO変換を担当する。sync_connectome.py はバージョン差分を検出し、apply_weight_delta() 用の差分COO を生成する。structural_mask は各ノード内の有効シナプス集合を表し、LIFNeuronLayer はそのマスクを用いて W = A × w_scalar で初期重みを生成する。
4.4 自動更新と検証
自動更新パイプラインは次を満たす:
- 差分検出: FlyWire 等のバージョン番号と ETag を比較。
- バリデーション: 新しい ei_mask と E/I 比が既定範囲内(例: ±0.5 以内)かを検証。
- ロールバック: 検証失敗時は前バージョンへ戻す。
- 配信: Zenoh 経由で weight_delta を配信し、各ノードはローカルで検証後に適用する。
4.5 初期化・PFC 制御シーケンス
初期化シーケンスでは、main.py が connectome_config.yaml を読み込み、connectome_loader を初期化して並列でミクロ/マクロデータを取得する。取得後、ConnectomeBundle{mask, weight, delay, ei_mask, hcp} を生成し、ノードタイプごとに LIFNeuronLayer(...bundle[node_type]) をインスタンス化する。
PFC 制御は 50ms ループで動作し、Zenoh で購読したスパイク群を集約して route_probs と認知エントロピー H_t を計算する。H_t に基づき可塑性のゲインを調整し、習熟状態では ForgettingController により低寄与の結線を閾値で刈り込む。
4.6 学習に関する数理的注意点 - 初期重みの定義: - $\(W_{ij}^{(0)} = A_{ij}\cdot (s_{ij}\cdot \alpha\cdot e_{ij})\)$ - 構造制約付き STDP: - $\(\Delta W_{ij} = A_{ij} \cdot \Delta_{STDP}(t_i,t_j)\)$ - E/I 比制約: 局所 E/I 比 \(R = N_E/N_I\) をソース由来で保つ。
Meta‑STDP 目的関数
3.3 制御方程式
認知エントロピー: $\(H_t = -\sum_i p_i(t) \log p_i(t).\)$
量子変調係数は、\(H_t\) に依存するハミルトニアンを持つ模擬量子回路から得る。 詳細は特許 MT25‑EV003 に記載。
3.4 通信と時刻同期
全てのスパイクイベントは PTP 同期時計でタイムスタンプされる。 ノード間遅延 \(\Delta_{ij}\) を測定し、\(\sum_{i,j} \Delta_{ij} w_{ij}\) を 最小化するルーティングを実行する。
4. フル脳運用シナリオ
分散脳シミュレーションは複数のノードが同時並行で動作し、 Zenoh メッシュを介してイベント駆動型のデータフローを実現する。以下は 典型的な動作シーケンスと各ステップに要する平均レイテンシを示したものである。
sequenceDiagram
participant SENS as Sensory Nodes
participant ENC as TAS Encoder
participant COG as Cognitive Layer
participant PFC as PFC/Q-PFC
participant MEM as Memory Layer
participant MOT as Motor Node
participant ZEN as Zenoh Mesh
SENS->>ENC: 生データ取得 (カメラ/マイク) [5ms]
ENC->>COG: スパイク列送信 [10ms]
COG->>ZEN: 各モジュール間スパイク交換 [2-8ms]
ZEN->>PFC: 統合入力到着
PFC->>PFC: route_probs 計算、認知エントロピー測定 [30ms]
PFC->>PFC: Q-PFC 量子変調実行
PFC->>MOT: 命令送信 [25ms]
MOT->>ZEN: 結果公開
PFC->>MEM: 経験保存要求 [5ms]
MEM->>COG: 過去情報検索要求 [5-10ms]
COG->>PFC: 補完データフィードバック
PFC-->>ZEN: 学習信号 (STDP/Meta-STDP)
ZEN->>COG: 重み更新通知
- 初期化 Zenoh ネットワークが自動発見プロトコルにより形成され、各ノードが 自身の機能をアドバタイズする。
- 入力 カメラ/マイクからの原始信号がリアルタイムで受信される。
- 符号化 TAS エンコーダが 1ms 分解能のスパイク列を生成し、複数の 認知モジュールへ配布する。
- 処理 認知層ノードが独立に発火し、必要に応じて Zenoh を介して他ノードと スパイクを交換する。ChronoSpikeAttention や空間ノードはここで作用。
- 意思決定 PFC は受信した情報を統合し、route_probs と認知エントロピーを計算。 Q-PFC が自信度に応じたゲーティングパラメータを生成し、最終的な 出力コマンドを決定する。
- 出力 モーターノードは PFC コマンドを受け取り、運動プランを実行または ベクトルを返す。
- 記憶更新 エピソディック/セマンティックストアに経験が記録され、 検索要求が出る場合には RAG を通じて関連データを提供する。
- 学習 STDP/Meta-STDP に基づきシナプス重量がオンラインで更新され、 必要に応じて EvoGenome がオフラインでアーキテクチャ改変を試行する。
記憶検索や空間注意は、タスク要求に応じて処理段階の途中に挟まれる 場合がある。現行デプロイでは 21 ノードのフル脳構成をサポートし、 海馬・扁桃体・小脳などのノードも統合済みである。
記憶検索や空間注意は、タスク要求に応じてステップ4–6の間に挟まれる 場合がある。現行デプロイでは21ノードのフル脳シミュレーションを支持し、 海馬・扁桃体・小脳などのノードを含む構成となっている。
5. 残存する生物学的挙動と予定拡張
5.1 EvoGenome の構成と協調
EvoGenome はネットワークアーキテクチャと可塑性パラメータのコンパクト 表現であり、次の3 つの節から成る。
- トポロジ – ノードID、ランク、エッジ重みを含む隣接リスト \((n_i, r_i, w_{ij})\)。
- パラメータ – 時定数、閾値、STDP 係数などノード固有辞書。
- メタ – 適応度スコアや突然変異履歴を含む進化的メタデータ。
分散運用時には2 相コミットを Zenoh 上で行いゲノムを同期する。協議者 (通常は最上位ランクの PFC)が更新を提案し、追随ノードはローカル整合性 チェック(例: ランクが現最大を越えない)を行う。コミット後、すべてのノードが 新ゲノムを原子的に読み込み、古いバージョンに遅れたノードは任意のピアから差分を 要求できる。
EvoGenome の意義は、集中制御なしに構造的適応を行える点にある。ノードが 持続的な性能低下を検知すると局所的にゲノムを突然変異し、その変更をゴシップ で広める。他ノードは自身のメトリクスに照らして提案を受容または拒否する。 このフェデレーテッド進化により、地理的・環境的に異なるハードウェア上でも 分散脳は適応できる。
EvoGenome の分散ノードへの展開パイプライン
が実装された。DistributedEvolutionEngine.run_evolution() 終了後、
deploy_to_nodes([node1, node2, ...]) を呢び出すことで全ノードに
best_genome を一括展開できる。各ノードの deploy_genome() メソッドが
GenomeToBrainConverter を咆用し、InstantiatedBrain インスタンスとして
保持する。以降、全ノードの _process_brain_command() 内で
ゲノム駆動 forward pass が実行される。
Remaining_Functionality.md には以下の生物学的に動機付けられた拡張が
記載されている。
- 海馬: シーケンス符号化、パターン分離・完成、シータ‑ガンマ結合。 エピソード記憶ノードとして実装し、カップリングをモデル化する振動 力学 $\(V_{hp}(t)=A\sin(2\pi \theta t)+B\sin(2\pi \gamma t)\)$ を導入(\(\theta\approx8\,\mathrm{Hz}\), \(\gamma\approx40\,\mathrm{Hz}\))。 セルアセンブリは LTP/LTD を通じて時間順序を符号化し、 コーサイン類似度で類似エピソードを検索する。
- 扁桃体: 情動価タグ付けと恐怖条件付け。感覚入力に対しスパイキング レートで正負価をエンコードし、PFC のゲーティング係数を $\(g_{PFC}=1+\alpha \cdot \mathrm{valence}\)$ のように変調することで 記憶の顕著性を制御する。
- 小脳: 迅速な感覚運動誤差補正が主要機能。PFC と Motor ノードの間に 座し、デルタ則 $\(\Delta w = \eta (r - \hat r) x\)$ を持つ監督型学習素子として働く。リアルタイムで予測誤差 \(r-\hat r\) を 生成し、反復的にパラメータを更新。
- 基底核: Go/No‑Go 経路を持つ競合スパイキング集団で行動選択。 各経路はレワード信号 \(R(t)\) に応じた重み更新規則 $\(\Delta w = \alpha R(t) - \beta\)$ を持ち、閾値越えで行動発火を制御する。
- 神経調節物質: ドーパミン/セロトニンレベルをグローバル時系列 \(D(t),S(t)\) としてモデル化し、STDP の係数 \(A_+,A_-\) を以下のように 変調する。 $\(A_+(t)=A_{+,0}(1+\gamma_D D(t)-\gamma_S S(t)).\)$
- 空間/時間階層: 計画、言語、抽象推論のための追加ランクノード。 Higher‑rank nodes を導入することで、長期依存関係に対する メタ学習が可能になる。
5.1 皮質・皮質下領域構成図
flowchart TB
%% cortical modules already implemented
Occipital["視覚<br/>(V1‑V5, IT)"]
Temporal["聴覚<br/>(A1)"]
Broca["言語<br/>(ブローカ領域)"]
Wernike["言語<br/>(ヴェルニッケ領域)"]
Parietal["空間<br/>(頭頂葉)"]
Frontal["PFC<br/>(前頭皮質)"]
Motor["運動皮質"]
%% subcortical and neuromodulatory regions added
Hippocampus["海馬<br/>(シーケンス記憶・
パターン分離/完成)" ]
Amygdala["扁桃体<br/>(情動タグ付け、
恐怖条件付け)"]
Cerebellum["小脳<br/>(迅速な感覚運動誤差補正)"]
BasalGanglia["基底核<br/>(Go/No‑Go行動選択)"]
Neuromod["神経調節<br/>(DA/5‑HT/ACh)"
]
%% information flow
Occipital --> Parietal
Temporal --> Broca
Broca --> Wernike
Parietal --> Frontal
Frontal --> Motor
Hippocampus --> Frontal
Amygdala --> Frontal
Cerebellum --> Motor
BasalGanglia --> Frontal
BasalGanglia --> Motor
%% neuromodulators broadcast globally
Neuromod -.-> Occipital
Neuromod -.-> Temporal
Neuromod -.-> Parietal
Neuromod -.-> Frontal
Neuromod -.-> Motor
Neuromod -.-> Hippocampus
Neuromod -.-> Amygdala
Neuromod -.-> Cerebellum
Neuromod -.-> BasalGanglia
図2. EvoSpikeNet モジュールと対応する脳領域の概念図。実線は情報 伝達経路、破線は予定拡張を示す。図中には海馬の時系列記憶、扁桃体の 情動タグ、小脳の誤差補正、基底核の行動選択、そしてドーパミン/セロト ニン/アセチルコリンなどの神経調節物質が全脳へ作用する様子が反映され ている。
6.7 個別サブシステム図と詳細説明
以下に主要な生物模倣サブシステムについて、ブロック図(mermaid)とデータ流、皮質対応、実装ファイル参照を示す。
6.7.1 海馬(Hippocampus) — シーケンス符号化とリプレイ
flowchart LR
Input["Context / Sequence Input"] --> CA3["CA3 / Pattern Separation"]
CA3 --> CA1["CA1 / Sequence Output"]
CA1 --> Buffer["HippocampalBuffer\n(evospikenet/biomimetic/hippocampal_memory.py)"]
Buffer -->|prioritized_replay| Sleep["SleepConsolidation\n(evospikenet/biomimetic/sleep_consolidation.py)"]
Sleep --> Cortex["Cortical Targets (PFC/Temporal)"]
- 役割: 時系列のエピソード符号化、パターン分離・完成、優先度付きリプレイ。
- 実装:
evospikenet/biomimetic/hippocampal_memory.py,evospikenet/biomimetic/sleep_consolidation.py。 - 重要パラメータ: リプレイバッチサイズ、優先度基準、SWR 周期(100–200 Hz 模倣)。
6.7.2 前頭前野(PFC / Q‑PFC) — 意図・意思決定とゲーティング
flowchart LR
SensoryFeat["Features (Visual/Auditory/Spatial)"] --> PFCcore["PFC Core\n(evospikenet/biomimetic/intention_module.py)"]
PFCcore --> Policy["Route_probs / Policy\n(Q‑PFC gating)"]
Policy --> Motor["Motor Planner & Efference"]
Reward["VTA TD Error\n(evospikenet/biomimetic/reward_circuit.py)"] --> PFCcore
Neuromod["DA / ACh / Oxytocin\n(evospikenet/biomimetic/neuromodulators.py)"] --- PFCcore
- 役割: ゴール管理(
IntentionModule)、ルーティング、可塑性ゲーティング(PlasticityGate経由)。 - 実装:
evospikenet/biomimetic/intention_module.py,evospikenet/biomimetic/modulatory.py。 - 重要パラメータ: 意図優先度減衰半減期、ゲーティングしきい値、PFC 内部ループ遅延。
6.7.3 睡眠・統合(Sleep Consolidation) — オフライン再生と記憶転送
sequenceDiagram
participant H as HippocampalBuffer
participant S as SleepConsolidation
participant C as Cortex
H->>S: prioritized episodes
S->>C: replayed spike sequences (SWR bursts)
Note right of C: PlasticityGate opens during replay (ACh modulation)
- 役割: 優先度付きリプレイによる海馬→皮質への長期記憶転送、SWR と δ/θ の相互作用。
- 実装:
evospikenet/biomimetic/sleep_consolidation.py。
6.7.4 報酬・情動回路(VTA / NAcc / Amygdala)
flowchart LR
Stimulus --> Amy["Amygdala\n(evospikenet/biomimetic/emotion_system.py)"]
Amy --> Valence["valence/arousal"]
RewardPredict["Value Estimator\n(VTADopamineModel)"] --> DA["Dopamine Signal"]
DA --> Plasticity["PlasticityGate\n(evospikenet/biomimetic/modulatory.py)"]
Plasticity --> Synapses
- 役割: 刺激の情動タグ付け(valence/arousal)と TD 誤差に基づくドーパミン放出、可塑性の動的変調。
- 実装:
evospikenet/biomimetic/emotion_system.py,evospikenet/biomimetic/reward_circuit.py,evospikenet/biomimetic/modulatory.py。
6.7.5 リズム同期(θ/γ/δ)と EEG バンド
flowchart TB
HippocampusTheta["Hippocampal θ (4–8 Hz)"] --> AChTrigger["ACh Release\n(evospikenet/biomimetic/neuromodulators.py)"]
CortexGamma["Cortical γ (30–80 Hz)"] --> Coupling["θ–γ Coupling\n(evospikenet/biomimetic/rhythm_sync.py)"]
Coupling --> Memory
- 役割: θ–γ 結合によるシーケンスセグメンテーション、δ 波によるオフライン統合トリガ。
- 実装:
evospikenet/biomimetic/rhythm_sync.py、ACh モジュールのトリガ。
6.7.6 ミラーニューロンと運動出力(模倣学習)
flowchart LR
ObservedAction["Observed Action Embedding"] --> Classifier["Action Classifier"]
Classifier --> Mirror["MirrorNeuronSystem\n(evospikenet/biomimetic/mirror_neurons.py)"]
Mirror --> MotorPrimitives["Motor Primitives (M1)"]
MotorPrimitives --> ImitationReward
- 役割: 観察から運動プリミティブを活性化し、模倣報酬を生成して学習を促進。
- 実装:
evospikenet/biomimetic/mirror_neurons.py。
各サブシステム図は論文化用に分解し、高解像度図(SVG/PNG)へ変換可能です。次の作業候補:
- 各図に対する単体テスト・期待入出力例を tests/unit/ に追加する(推奨)
- 図の SVG 生成と docs/assets/ への保存
6. データフローと通信
全ノード間トラフィックは Zenoh Pub/Sub を使用し、トピック命名は
<node_type>/<region>/<signal> 形式である。例:視覚スパイクは
vision/v1/spikes に publish される。購読者はIDまたは近傍でフィルタリングし、
SpatialWhere ノードは vision/*/spikes を購読して局所処理を行う。
クロック同期は PTP グランドマスター選出を通じて行い、ジッタは通常 <1µs。スパイクイベントは 64bit タイムスタンプを含み、Zenoh はゾーン内 順序を保証するが全メッシュでは非同期である。マスター監督ノード (ExecutiveControlEngine が監視) は毎秒 \(L_{ij}\) 遅延をログ取りし、 適応ルーティングに利用する。
7. 議論と今後の展望
EvoSpikeNet は分散スパイキングアーキテクチャで、汎用ハードウェア上で 包括的な脳機能セットをリアルタイムにシミュレートできることを示した。 階層的設計と生物学的妥当性のあるモデルは、神経科学的なテスト性を 促進する:膜時定数、可塑性時間窓、注意減衰などのパラメータが実験観察に 直接対応する。
- EvoGenome → 分散ノード 展開ブリッジ:
DistributedEvolutionEngine.deploy_to_nodes()により、進化結果が即座に 各ノードのリアルタイム推論に反映される。 - STDP デルタの実重み適用:
InstantiatedBrain.apply_weight_delta()により INT16 デルタがnn.Linear層にインプレース適用され、オンライン可塑性ループが閉じた。 BrainSimulationインポートエラー修正:DistributedBrainNodeとBrainSimulationFrameworkの結合が完全に 機能するようになった。
残存する制限としては、一部サブシステムには追加の拡張や安定化が必要です。
詳細な実装状況およびフェーズ情報は Remaining_Functionality.md を参照して
ください(海馬・扁桃体・小脳・神経調節系の主要機能は実装済み)。
依然として、PTP 同期の大規模スケーリングや神経調節物質の細粒度制御などが
継続的な課題です。
今後の研究では コネクトームで用いるパラメータの精査やEEG/BMI インタフェースを統合した閉ループ実験、 地理的に分散したクラスタへの展開(フェデレーテッドシミュレーション)、 および神経調節物質の細粒度制御や複雑環境下での適応的学習評価などが 挙げられる。